Insight

2022/07/29

起業家×ベンチャー・ビルダーで社会に価値を提供し、「ユニコーン輩出VC」を目指す

起業家×ベンチャー・ビルダーで社会に価値を提供し、「ユニコーン輩出VC」を目指す

デライト・ベンチャーズ ベンチャー・ビルダー事業インタビュー

デライト・ベンチャーズには本業の傍らで起業にチャレンジできる環境を提供する、ベンチャー・ビルダー事業と、純投資を行うベンチャー投資事業の2つの事業があります。本記事では、起業家(EIR=Entrepreneur in Residence)と共に新規事業を創出し起業支援を行うベンチャー・ビルダー事業で責任者を務める坂東と、メンバーの加古、牛尾に事業の魅力ややりがいについて聞きました。

企業内での新規事業立ち上げとスタートアップのいいとこ取り

ーベンチャー・ビルダー事業の立ち上げ目的や特徴を教えてください。

坂東:デライト・ベンチャーズは株式会社ディー・エヌ・エー(以下DeNA)を有限責任組合員とした独立系ベンチャーキャピタルです。ベンチャー・ビルダー事業では、起業家と共にゼロベースでアイデア企画、アイデアの検証、プロダクト開発・運営と事業を立ち上げ、その後は早期にスピンアウトを目指し、資金調達まで一気通貫の起業支援を行っています。

ベンチャー・ビルダー事業を立ち上げた目的はいくつかあります。日本は欧米諸国に比べるとスタートアップエコシステムがとにかく弱い。母数も少ない上に、大きく伸びているスタートアップもまだまだ少ないというのが現状です。大企業人材の流動性の低さと起業への各種ハードルが課題になっているんですよね。優秀人材を企業に閉じ込めるのではなく解放する、起業を“そそのかす”――起業のハードルを下げ、一緒に事業を創り出し、とことんサポートするのが我々の事業です。

元々はDeNA社員の新規事業創出や起業を応援する目的でスタートしましたが、昨年夏より対象を社外にもオープン。現在では企画フェーズも含めると、新規事業を検討している起業家の約8割がDeNA社員以外の方です。

事業の特徴(=起業家にとってのメリット)は以下の通りです。事業アイデアの探索・企画からスピンアウトまで各フェーズにおいて、ベンチャー・ビルダー事業に在籍する専門家集団が共に事業立ち上げを支援。さらに独立起業後も、デライト・ベンチャーズは共同創業者として投資家として継続支援を行っていきます。

venture-builder-system3.webp

2022年7月末現在(運営期間3年弱)、累計13社が独立起業しています。日本においてベンチャー・ビルダーとベンチャーキャピタルの両輪で事業展開するスタートアップスタジオはほとんどない。それがデライト・ベンチャーズの一番の強みかと思います。ターゲットが若手だけではなく実績を積んだ社会人対象というのも特徴的です。

新規事業を起業家と一緒に生みだす、面白さに惹かれて

ーどのようなきっかけで、起業家支援の仕事に興味をもったのですか?

坂東:私は元々DeNAに16年半在籍しており、その中でも新規事業創出の仕事が好きでした。「みんなのウェディング」ではゼロから立ち上げてスピンアウトまで事業責任者を務め、のちに上場。インキュベーション事業でも多くの新規事業立ち上げ支援に携わりました。自分で立ち上げるのはもちろん、体系化して支援するのも面白く、デライト・ベンチャーズ立ち上げのタイミングで「ぜひともやりたい」と移籍を決めました。

加古:これまでのキャリアの中で、事業立ち上げやそれに関連したマーケティング調査などを多く経験しました。DeNAではたとえば新規メディア立ち上げを、メルペイではリリース時のマーケティングを担当。ゼロベースの事業立ち上げから育てるフェーズを経験する中で、純粋に楽しいな、と。顧客の接点・検証のスキルを活かせる点も起業家支援の仕事に繋がると感じました。

牛尾:二人と共通するのですが、私自身も新しい事業を立ち上げる仕事への興味が強くあり、2009年からDeNAで新規事業立ち上げに関わってきました。日々の仕事を通じて常に感じていたのが海外と比較した際に日本から突出したスタートアップがなかなか出てこない現状。日本の起業システムや環境にも危機感を感じていました。もっと自由に起業をしてほしい、起業を目指す人のサポートができないものか。デライト・ベンチャーズの取り組みを知ったときに自分の想いを体現できる場所と感じてジョインしました。

image02.png

デライト・ベンチャーズ プリンシパル 坂東龍

起業の成功はもちろん、支援が起業家の豊かな人生に繋がるように

ーベンチャー・ビルダーとして、大切にしていることは何ですか?

坂東:人生において3つ大きな事業を作りたいと、DeNA入社時に志を抱いていました。現時点で1つ、上場する事業を作りました。残り2つ…と言わず、今後いくつも上場できるような大きな事業を起業家の人と一緒に作っていきたい。大きく「はっちゃける」価値を世の中に提供すること――今でも変わらない大切な自分の中の指標です。

もうひとつは起業家がデライト・ベンチャーズと出会うことで起業の成功や、よりよいキャリアを築いていくこと。仮に失敗したとしても、その人のビジネス人生がより豊かになるような関わりを目指したいです。

起業は失敗するケースがほとんどです。起業したい人を支援する立場に身を置いていると何とか審査を通したいという気持ちが芽生えてしまいがちですが、一方で投資家の目線でゲートウェイ(門番)としてシビアに見極めることも忘れてはいけない。より客観的かつ冷静な目で投資判断することも日々意識しています。早期タイミングで適切な支援で失敗に気がつけるということは、起業家にとっても結果的に無駄な時間を費やさないというメリットにもなります。

加古:起業のプロセスって知らないと思いがけず遠回りしてしまうことも多くあります。起業家の方が効果的かつスピーディに事業創出できるようなサポートを目指したい。やりたいことを実現する手段として活用いただけたらと。

また、日々の起業支援を通して実感していることは、ある程度得意な領域で挑戦したほうがやはりスムーズだということ。それぞれの起業家のよさや熱い想いを引き出して、その人ならではの強みを活かした支援ができるよう取り組んでいます。

image3.png

シニアアソシエイト 加古静香

牛尾:起業家候補の方を支援する中で素晴らしい事業が生まれていくことは、ベンチャー・ビルダーとして一番嬉しいことです。ただ、必ずしも毎回ゴールまでたどり着けるわけではなく難しいプロセスも多々あります。

事業創出がうまくいかなかったとしても、ここで我々と関わったことで違う道が開けたり、再度起業に挑戦したり。その方にとっても、世の中全体にとってもプラスに繋がっていくような機会創出の場を常に心がけています。最終的には多くの起業家が増えて、日本からユニコーンが出ていったらいいなと強く願います。

ベースは人。課題解決へ野心を持って挑める起業家を応援したい

ーどのような事業や起業家を応援していきたいですか?これまで出会った起業家との印象的なエピソードについても聞かせてください。

坂東:ビジネスモデルとしてはキャピタルゲインを得ることが大前提ですので、大きく育てられる事業・大きな課題を解決することができる事業が投資対象となります。

応援したい人物像としては、本音を言えば事業立ち上げの戦闘能力が高ければ高いほどいい笑。そして、大きな課題をクリアすることに熱量を持って挑めるような志の高い人がベスト。アーリーステージであればあるほど、キャピタリストが投資をしたくなるような「強い」人物が求められるし、「この人あってこそ、この事業!」という想いが伝わる起業家であれば我々もぜひとも一緒に事業創出を成し遂げたいと思います。

実は、社外の優秀な人材に対して「将来起業したい」「新規事業立ち上げ経験アリ」等のタグ付にマッチした人へスカウトメールを送っています。他のベンチャー・ビルダー(スタートアップスタジオ)ではなかなかない試みかもしれませんね。実際に、このスカウトメールでの出会いから、とんとん拍子に話が進みVC調達のフェーズまで1年経たずに到達した事案も現在進行中。まさにデライト・ベンチャーズの理想形です。起業への想いがあってもタイミングや環境で踏み出せないでいる人もまだまだ多いので、未知なる出会いを求めて地道なアプローチは続けていきたいです。

加古:せっかく100億円ものDeNA資本を活用して支援するのだから、社会がよりよくなる事業に貢献できればいいなと考えています。現状誰かが困っていることを根本から解決できるような、社会的に意義のある事業や想いを持っている起業家を応援したいですね。

起業家とのエピソードについては、20代女性の起業家候補とのことが心に残っています。フェムテック系の事業検討の事案でニーズが見極められず事業としてはストップしてしまったのですが、起業家自身、調査プロセスを経て一人ひとりの顧客の困りごとを深く感じ取り、社会的な課題の大きさを実感、起業に対する想いが深まっていく姿を目の当たりにしました。いつかきっと、彼女が再挑戦を果たして起業家として羽ばたく日が来るだろうと密かに応援しています。

牛尾:日本社会では全体的に人材の流動性が低いこともあって、起業できるポテンシャルを秘めている大きな企業の中堅クラス以上の方々にとって、起業が選択肢に入りづらいですが、こうした経験豊富で特定の専門領域に精通した方々でも、まずは気軽に事業創出に取り組もうと思える場でありたい。そして、意を決し飛び出した時に我々ベンチャー・ビルダーが探索・企画からスピンアウトまで一気通貫して支援できる存在であり続けたいと思います。

印象に残っているのは目下現在進行形の事案で、不動産領域のオーナー向けサービスを検討している起業家候補の方とのエピソードです。元々このサービスには興味を持っていたものの自身はオーナー経験なし。経験はないものの起業家候補の方が自ら積極的にヒアリングを進めて、多くのオーナーの方々を巻き込み、ときには応援されながら課題を掘り当てていくアプローチが素晴らしくて。事業化にはまだ至っていないですが、周囲の方々もはっとするような熱い想いを持って突き進む起業家に伴走できることにやりがいを感じています。

image04.png

シニアアソシエイト 牛尾正人

起業家×ベンチャー・ビルダーの相乗効果で全く新しい事業創出を

ーベンチャー・ビルダー事業が目指す未来について聞かせてください

坂東:これまではとにかく起業したい人を受け入れてきましたが、支援体制が1on1になりがちで、効率的に支援しきれていないという課題も。大きい事業を目指すというゴールになかなか辿りつかない懸念もあります。今後は起業のノウハウツールを用意する等、より多くの人へさらに広く、起業の背中を押す武器を画一的に効率的に提供することで起業の裾野を広げて行ければと考えています。一方で、起業家の資質をディープに厳選してより集中的に支援を行う必要があります。視野の拡大と優秀な起業家へのより強い支援、この二つの両立ですね。

また、ベンチャー・ビルダーの我々自身で提案する、事業アイデアの精度も上げていきたいです。ネタ提供に留まらず自分達でこの事業課題を解決するのだという大きな心意気で取り組んでいけたら。海外のスタートアップスタジオは運営者自らが課題解決に貢献するスタイルも多くみられますが、日本ではプロダクトアイデアまで提案するケースはまだ少ないようです。この部分をデライト・ベンチャーズが積極的に取り組むことで、起業家と共に今までにない新規事業を生みだせたらと思います。

加古:デライト・ベンチャーズからユニコーンが複数生まれ、「ユニコーン輩出VC」と言われる未来――“あそこから出てきた起業家はすごいよね”と多くの人に言われるような存在になりたいと思います。デライトから生まれた事業が、社会に多くの価値を提供している状態になることも、もう一方で思い描く未来像です。

10年前はあんな無駄なことしていたのね…と言われるような事象がスマホひとつで簡単に実現できたり、電車に乗るとデライト・ベンチャーズから生まれたサービスを使っている人を多数見かけたり…。はたまた自分の子供がベンチャー・ビルダーから生まれた事業を楽しんで使っている未来も面白い!そんな10年後になっていると非常に嬉しいなと強く思います。

insight-venture-builder-introduce-04.webp

▼起業家候補(EIR)の応募はこちらから
採用情報:起業家候補(Entrepreneur In Residence)

<プロフィール>
●坂東龍 プリンシパル
2003年にDeNA入社し、広告営業やネットソリューション事業でのコンサルタントを経て、「みんなのウェディング」を立ち上げスピンアウトまで事業責任者を務める。その後ソーシャルゲーム事業の企画部長、ペイジェント取締役、インキュベーション事業部長、SHOWROOM取締役等をつとめ、2019年10月からデライト・ベンチャーズに移籍し、ベンチャー・ビルダー の責任者として新規事業・スタートアップの創出・育成全般に尽力。

●加古静香 シニアアソシエイト
京都大学卒業後、出版社、コンサルティング会社を経て、2010年よりDeNAでサービスやゲームの宣伝、マーケティング調査、新規事業立上げ等に携わる。その後、アマゾンジャパンにてAmazon Pay事業のマーケティング、メルペイでリリース時のマーケティングなどを担当。マーケティングの戦略策定と施策の実行推進を得意とする。 2021年よりデライト・ベンチャーズにて起業支援・投資先のマーケティング支援などに携わる。

●牛尾正人 シニアアソシエイト
2009年にDeNA入社し、広告営業戦略、マーケティング、分析、経営企画/戦略、新規事業(海外展開、音声系アプリ、メディア・サービス、自動運転、EV関連事業、等)に従事。 2021年10月よりデライト・ベンチャーズに出向し、新規事業・スタートアップの創出・育成に携わる。得意なプロセスはビジネスモデル検討と各種定量分析、新規事業のビジョン策定。得意な領域は自動車関連、脱炭素、スマートシティ。

取材・文:馬場 嘉代子(Kayoko Baba)
編集:杜多 真衣(Mai Toda)
撮影: 小関 晃典(Akinori Koseki)