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Insight

12/20/2022

起業家と議論を重ね、ぶつかり合って進めるプロダクト開発。信頼関係が成功の鍵に

起業家と議論を重ね、ぶつかり合って進めるプロダクト開発。信頼関係が成功の鍵に

デライト・ベンチャーズ エンジニア 鼎談

デライト・ベンチャーズでは、フルタイムのエンジニアが在籍して、支援先スタートアップのプロダクト初期開発に伴走しています。中心となって活躍する3人のエンジニアが、取り組みや起業家とのエピソードを振り返り、これからのスタートアップの事業創出・展望について語ります。

<プロフィール>
川崎修平
「Mobage」や「モバオク」を、たった一人、わずか3カ月で作り上げたヒットメーカー。東京大学大学院博士課程に在学中の2002年、株式会社ディー・エヌ・エーにアルバイト入社し、07年、取締役に就任。2019年から株式会社デライト・ベンチャーズでエンジニアとして、主に初期プロダクトの設計・開発を担当。エンジニア向け給与データサービスの「PROJECT COMP」、ウェブサイト上で商談調整を完結する「immedio」の立ち上げに参画。

●外山要作
2012年、株式会社ディー・エヌ・エーに入社し、複数の新規事業開発に携わる。ゲーム開発・運用を経て、コミュニケーション、SNS、ヘルスケア、ライブ配信などのサービス開発に従事する。2021年から株式会社デライト・ベンチャーズで新規サービスの設計、開発や技術調査などを担当。家庭料理のテイクアウトステーションの「マチルダ」などのプロジェクトに参画。

●小林修平(なのくろ) 
2012年、株式会社ドワンゴに入社し、動画配信サービスの開発に携わる。後に株式会社ディー・エヌ・エーやAI開発スタートアップを経て、2022年から株式会社デライト・ベンチャーズにて新規サービスの設計、開発、UI/UXデザインなどを担当。情報システム部門向けSaaS管理サービス「zooba」のローンチプロジェクトに参画。

全体を俯瞰しながら事業に伴走する、PdM思考をもつ開発者

川崎:僕らデライト・ベンチャーズのエンジニアは、スタートアップ企業の創業CTOに近い働き方をしていますよね。一部の技術開発に特化したスペシャリストではなく、全体を俯瞰してものごとを判断する力が求められます。

設計・インフラ・コード書きなど一般的なエンジニアの仕事もするけれど、同時に、自分の手が離れてもチームが順調に機能するよう、プロダクトマネージャー(PdM)としての思考も持って開発にのぞんでいます。

外山:「プロダクトを作る」ことではなく、「プロダクトとして価値を提供する」ことが目的なので、ときには、あえて「この機能は作らない」という判断・選択をすることもありますよね。

小林:そうですね。プロダクト開発に加えて、「これを作るために、こういう人を採用しよう」と、エンジニア採用に踏み込んで話をすることもあります。

川崎:基本的にスタートアップの立ち上げメンバーとして参画しているので、少人数で仕事をしているのも僕らの特徴かな。起業家とエンジニア2人だけという最少人数でスタートすることも珍しくはありません。

外山:0 → 1フェーズに参画しているので、スピードも重視されますよね。

小林:スタートアップはプロダクトを早く出すことにも価値がありますからね。完成度の高いものをじっくりと作る開発ではなく、多くの競合がいる中で少しでも早く価値を世に出すことが求められていると思います。

川崎:デライト・ベンチャーズのエンジニアがプロダクトにかかわるのは立ち上げ初期の1〜2年という短期間。僕らの手が離れた後も事業がきちんと回るように、バトンを渡す人を探したり、アトラクトしたりすることも必要ですね。

また、最初はいろいろな変化に対応できるように柔らかく設計して、チームをスケールさせるフェーズになったら、共同作業で開発できるように設計自体を変更することもあります。

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デライト・ベンチャーズ エンジニア 川崎修平

外山:渡す前提で作るので、バニラ(できるだけ色をつけない、誰でもわかるような状態)でバトンを渡すことが多いです。

小林:最初は何を作りたいのか明確に見えないこともある。フワッとした状態のものを、どんどん具現化していくのが僕らの役割なんだと思います。

起業家と、「これは何で必要なのかな」「こういう機能が欲しいよね」「これは要らないよね」と常に相談しているから、途中で作るものが変わることもある。起業家が投資家と話したタイミングで機能を足すこともあれば、逆に「この機能は競合がいるからやめよう」となることも。

作ったものが世に出なくなる可能性もある前提で開発に取り組むのは、デライト・ベンチャーズならではのスタイルかもしれませんね。

外山:早く作って、途中で壊すことができるのもデライト・ベンチャーズのエンジニアだからこそ。クイックにプロトタイプを作ってお客様に見せて、フィードバックをもらえるように心がけています。

まるで夫婦?! 起業家とエンジニアの信頼関係

川崎:これはエンジニアそれぞれだと思いますけど、僕は起業家に喜んでもらうことをモチベーションに、日々の仕事をしています。「これ、いけるな」っていうものができると、チームに活気が出て、全員の顔色がぱっと明るくなる。その瞬間が嬉しい。

小林:僕もまったく同じですよ。同じプロダクトを作っている仲間として起業家と議論を重ね、一喜一憂しながら作るのはモチベーションが上がりますもん。PRがうまくいった、新聞に掲載されたという話を聞くと僕も嬉しくなるし、逆に、資金繰りがうまくいかなかったとか、ピッチがうまくいかなかったと聞けば悔しさを分かち合う。

そうやって、喜怒哀楽を共有しながら進めていくことにやりがいを感じています。何をやるかも大事だけれど、誰とやるかはもっと大事かな。

外山:僕も、「どうしてもこれが作りたいんだ! 実現したいんだ!」という人と一緒にやりたいと常々考えています。だから、細かなこだわりや工夫部分に気づいて喜んでもらえると嬉しい。ユーザーの反応もほしいけど、まずはプロダクトオーナー(PO)の反応が最初のフィードバックですから。

起業家によってビジョンがさまざまで、関わるプロジェクトによって毎回、手がけるものがダイナミックに変わるのも、この仕事の醍醐味ですね。

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デライト・ベンチャーズ エンジニア 外山要作

川崎:「その夢の実現に貢献したい」「この人と一緒にいいものをつくりたい」「このチームで一緒に喜びを感じたい」という思いが強いほど、成功に向かうと実感しています。

小林:うんうん。互いに信頼し、リスペクトしあえる起業家とはだいたいうまくいきますね。ときには喧嘩ごしになることもあるけれど、それは腹を割って話せる信頼関係が築けているからこそ。結局、“人”なんですよね。お二人は、起業家と喧嘩したことはありますか?

川崎:うまくいっている事業は、だいたい一度は喧嘩していますよ(笑)。たとえば、本当は時間の余裕があるのに締め切りのタイミングについて、バッファ(余裕)を設けて早めに設定されたとき、「こちらも全力でやっているから、信頼してよ、隠し事なしでやろうよ」と本音をぶつけたこともあります。

そうしてお互い腹を割って話したら、以後、対等な関係で気持ちよく仕事できるようになりました。

外山:なんだか、夫婦みたいですね(笑)。

川崎:お互いの価値観を揃えるための喧嘩は必要。まさに夫婦。そういうエピソード、あるでしょう?

外山:起業家から「こういう機能を作ってほしい」というリクエストがあって、内心では「これ、要らないんじゃない?」と思いながら時間をかけて作ったことがあるんです。後から振り返ってみると、作ってよかった。

プロダクトについては分かっているつもりだったけれど、起業家のほうがビジネスを理解していたんだと、腑に落ちました。まさに二人三脚ですね。うん、夫婦だ(笑)。

熱い起業家と一緒にプロダクトを進めていく面白さ

小林:仕事をしていて気持ちがいいのは、起業家と同じ視点で「これ、いいね」と感じられること。それが世に出て、使ってくれた人のフィードバックも「これ、よかったよ」であれば、エンジニア冥利につきます。使う人を感動させる、喜ばせる事業だったらぜひやりたいなあ。僕、エモいのが好きなんですよ(笑)

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デライト・ベンチャーズ エンジニア 小林修平(なのくろ) 

川崎:僕は、最初に事業企画についての資料を見たときに、「これを超えるものを作れば、起業家は喜ぶだろうな」「これは面白そうだから他の人に任せず自分でやりたい」と、想像が広がるプロジェクトは多少無理してでも参画しています。人を感動させたい、役に立ちたいという思いでこの仕事をしているから、そこにコミットできる事業はやりがいを感じるんです。

外山:僕はそれに加えて、自分がぐっとくるサービスにも魅力を感じています。3年前に子どもが生まれてからは、出産や育児に関わるものにも興味を持つようになりました。

川崎:大きな課題を解決する起業家輩出を目指すデライト・ベンチャーズとしては、これから先、どんどんプロダクトを作っていきたいですよね。同時に、起業家の伴侶となる才能あるエンジニアを発掘して、彼らがスキルを最大限に生かせるエンジニアチームも育てていきたい。

小林:これまで、起業はハイリスクというイメージだったけれど、多くの起業家やVCなどの働きかけにより、スタートアップエコシステムが形成されつつあり、挑戦へのハードルが下がってきているのは事実。とくに、デライト・ベンチャーズはただ投資するだけではなく、僕らのようなエンジニアや、起業に対するノウハウを持った伴走者がサポートするし、起業のハードルを下げるための施策も講じています。

この環境を活用して、起業家の方にはどんどん挑戦してほしいですね。同様に、エンジニアにも挑戦してもらえる社会になればいいと思っています。

この事業をやってみたいという思いはあるけれど、起業のノウハウもないし開発も畑違いだからと諦めている人は少なくないと思うんですよ。でも、むしろそういう人たちにこそ、僕らがいるデライト・ベンチャーズに飛び込んできてほしい。

川崎:起業家は、事業に対して熱い想いや覚悟があれば、プロダクトのスキルはなくてもいい。そもそも、プロダクトづくりのノウハウがある人は、僕らがサポートしなくても、成功できるだろうから(笑)。

外山:やっぱり、「これを作りたいんだ!」という熱い気持ちが一番ぐっときますよね。

川崎:本気度やビジョンが大事ですね。芯がブレていない、起業家としての強さ、推進力、粘り切る強さを持つ方と一緒に大きな課題解決を目指す事業創出にチャレンジしていきたいですね。

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取材・文:芹澤 和美(Kazumi Serizawa)
編集:杜多 真衣(Mai Toda)
撮影:小関 晃典(Akinori Koseki)